こんにちは、かなママです。
今回はお気に入りの一冊を紹介します。
『図鑑 世界の文学者』という大型本です。
妊娠中に、大きくなった娘とこの本を読む未来を想像して購入した本です。
子どもと一緒に読みたいポイント
この本には有名な文学者の肖像画もしくは写真が大きく掲載されています。
そして、各人の人物像や来歴が詳しく書かれている図鑑です。
登場するのは教養として知っておきたい人や、世界史の教科書で出てくるような人たちです。
そういった人たちの名前だけ覚える勉強は、ひどく味気ないものです。
娘には暗記だけではない勉強をしてもらいたいと思っています。
子どもが教科書か何かで文学者の名前に出合ったときに、この本のページをめくる姿を想像します。
その人に関心を持ち、実際にその人の書いた本を手に取ってみたい!と思うかもしれません。
その人の生きた時代背景に興味が芽生えるかもしれません。
先に文学者の作品を読んで、その人のページを開いてみるのもいいでしょう。
最初に読んだときとは別の角度から作品を考察できるかもしれません。
そんなふうに好奇心をくすぐる一冊だと思います。
私もひととおり目を通して、出てきた作品を読んでみたくなりました。
ついでにめぼしい作品は図鑑の隣にでも置いて、娘もさっと手に取れるようにしておくのが理想です。
楽しみ方① 図鑑をきっかけに作品を読む
実際に図鑑を読んで興味を持ち、読んでみた作品があります。
たとえばダンテ・アリギエーリの『神曲』です。
ダンテは図鑑ではトップバッターです。
最初に出てくる人ということで、自然と解説文も隅から隅まで読みたくなります。
ダンテの『神曲』は世界史の教科書に出てきました。
キリスト教の世界観の下に、地獄、煉獄、天国という世界の構造を描いた作品などと記憶していました。
なんとなくお堅いイメージで、聖書も読んだことのない私には特段興味のない作品でした。
図鑑を読んで真っ先に思ったのは、ダンテはダンテ・アリギエーリという名前なんだということです。
フルネームは見たことがありませんでした。
小さな発見ですが、そこから「ダンテ」がただの単語ではなく人物として見えてきます。
解説を読むと、ダンテさんは故郷フィレンツェで政争(内乱)に加わり負けたことがわかります。
そしてフィレンツェを追放されてしまうのです。
その後に書かれたのが『神曲』という詩です。
『神曲』の中には当時に実在した人物がたくさん登場します。
ダンテの愛した女性は天国にいて、政争の相手は地獄で永遠の責め苦にさいなまれているのです。
ダンテの個人的な恨みや感情がはっきり表れています。
これではまるでDEATH NOTE(デスノート)みたいじゃないですか?
実際に読んでみると、かつての先生や知人も地獄行きにしています。
そういう意味では地獄は公平な場所なのです。
一方、他人のことをそんなふうに見ていたのかとダンテの性格を疑いたくもなります。
人の欠点を見つけて、本に書いてばらすのは性格が悪くないですか、と。
とはいえ、キリスト教的世界観やダンテの信条が表れている詩です。
描写も力強さがあり、言葉のセンスには感銘を受けます。
読んでいた本の注釈では日本の近代の文学者も『神曲』を読んで影響を受けていることがわかります。
深い考察をできるだけの背景知識を得るのは難しいですが、こんな感じで『神曲』を楽しむことができました。
ちなみに私が読んだのは、読みやすいとネットで紹介されていた河出文庫の『神曲』です。
楽しみ方② 知っている作品について図鑑で読む
私が読んだことのあった作品は、たとえばジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』です。
図鑑に出てくると単純に、この人、この本、知っている!とうれしく思います。
むかし書店で見かけて、冒険物でおもしろく読めそうと手に取った本でした。
Amazonや楽天のサイトに載っている「BOOK」データベースの商品紹介ではこんなふうに書かれています。
船乗りマーロウはかつて、象牙交易で絶大な権力を握る人物クルツを救出するため、アフリカの奥地へ河を遡る旅に出た。募るクルツへの興味、森に潜む黒人たちとの遭遇、底知れぬ力を秘め沈黙する密林。ついに対面したクルツの最期の言葉と、そこでマーロウが発見した真実とは。
改めてジョゼフ・コンラッドについて読むと、彼は19世紀後期の作家で船乗りでもありました。
この作品は初期のころの作品で、彼の経験が詰まった作品でした。
図鑑では『闇の奥』について、こんなふうに書かれています。
(前略)1889年になると、新たな体験への渇望に突き動かされて、ベルギー領コンゴへの配属を願い出る。川船の船長を拝命(前任の中佐は殺害されていた)したコンラッドは、陸路キンシャサへ向かうと「ブリキポット並みの蒸気船」に乗り組み、ボコマ滝へとコンゴ川を遡った。赤痢とマラリアで生死の淵を彷徨うが、それ以上に彼を苦しめたのは、当地で目にした地獄のような光景だった。ヨーロッパの植民地主義者による行為を、コンラッドは「人類史上最も醜く、良心無き卑劣な略奪」と述べている。こうした体験はまるごと中編『闇の奥』(1899年)に描かれ、読者の心に強烈な印象を残した。
『図鑑 世界の文学者』p152
この解説の脇には、「コンラッドの時代の今後」というコラムがあり、その状況がわかるようになっています。
この程度の情報は『闇の奥』の本でも解説で出てくるかもしれません。
ただ本は読んだきりになっていたので、細かい背景については忘れていました。
改めて彼のページを読むと、いまでは考えられない経歴であることがわかります。
そしてこの本に書かれた経験が彼の人生に大きな影響を与えたことが推察できます。
その後の彼の人生はどんなものなのか図鑑を読んで考え、ほかの作品も読んでみたいと思うのです。
再読もしたくなりました。
どんな文学者が掲載されているの?
書店では中が見えなくなっていたので、誰が載っているのかもわからず、購入するときに躊躇しました。
気になる人もいると思うので、目次に上がっていて大きく取り上げられている人物を挙げておきます。
また私の目線で図鑑の中から、これが代表作かな、有名かなと思えるものを1つ書いておきます。
あなたはいくつ知っていますか?
- ダンテ・アリギエーリ 『神曲』
- ジョヴァンニ・ボッカッチョ 『デカメロン』
- ジェフリー・チョーサー 『カンタベリー物語』
- フランソワ・ラブレー 『ガルガンチュア物語』
- ミシェル・ド・モンテーニュ 『エセー』
- ミゲル・デ・セルバンテス 『ドン・キホーテ』
- ウィリアム・シェイクスピア 『ハムレット』
- ジョン・ダン 『聖なるソネット』
- ジョン・ミルトン 『楽園喪失』
- モリエール 『タルチュフ』
- アフラ・ベーン 『オルノーコ』
- 松尾芭蕉 『おくのほそ道』
- ダニエル・デフォー 『ロビンソン・クルーソー』
- ジョナサン・スウィフト 『ガリヴァ旅行記』
- ヴォルテール 『カンディード』
- J・W・フォン・ゲーテ 『ファウスト』
- ウィリアム・ワーズワス 「水仙」
- ジェイン・オースティン 『エマ』
- メアリー・シェリー 『フランケンシュタイン』
- バイロン男爵 『チャイルド・ハロルドの遍歴』
- オノレ・ド・バルザック 『人間喜劇』
- ヴィクトール・ユゴー 『レ・ミゼラブル』
- ハンス・クリスチャン・アンデルセン 『子どものための童話集』
- エドガー・アラン・ポー 『モルグ街の殺人』
- チャールズ・ディケンズ 『オリヴァー・トウィストの冒険』
- シャーロット・ブロンテ/エミリー・ブロンテ 『嵐が丘』
- ジョージ・エリオット 『ミドルマーチ』
- ハーマン・メルヴィル 『白鯨』
- ウォルト・ホイットマン 『草の葉』
- シャルル・ボードレール 『悪の華』
- ギュスターヴ・フローベール 『ボヴァリー夫人』
- フョードル・ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟』
- ヘンリック・イプセン 『幽霊』
- レフ・トルストイ 『戦争と平和』
- マシャード・デ・アシス 『プラス・クーバスの死後の回想』
- エミリー・ディキンソン 「その名は――秋」
- マーク・トウェイン 『トム・ソーヤーの冒険』
- トーマス・ハーディ 『テス』
- エミール・ゾラ 『テレーズ・ラカン』
- ヘンリー・ジェイムズ 『ある婦人の肖像』
- アウグスト・ストリンドベリ 『夢の劇』
- ギ・ド・モーパッサン 『脂肪の塊』
- オスカー・ワイルド 『ドライン・グレイの肖像』
- ジョゼフ・コンラッド 『闇の奥』
- ラドヤード・キプリング 『ジャングル・ブック』
- アントン・チェーホフ 『三人姉妹』
- ラビンドラナート・タゴール 『ギタンジャリ』
- W・B・イェイツ 『塔』
- ルイージ・ピランデッロ 『すべて前よりよし』
- 夏目漱石 『吾輩は猫である』
- マルセル・プルースト 『失われた時を求めて』
- ウィラ・キャザー 『おお開拓者たちよ』
- トーマス・マン 『ヴェニスに死す』
- 魯迅 『阿Q正伝』
- ジェイムズ・ジョイス 『ユリシーズ』
- ヴァージニア・ウルフ 『ダロウェイ夫人』
- フランツ・カフカ 『変身』
- エズラ・パウンド 『ピーサ詩編』
- D・H・ロレンス 『チャタレー夫人の恋人』
- レイモンド・チャンドラー 『大いなる眠り』
- T・S・エリオット 『荒地』
- ジーン・リース 『サルガッソーの広い海』
- マリーナ・ツヴェターエワ 『美しの乙女』
- F・スコット・フィッツジェラルド 『偉大なギャツビー』
- ウィリアム・フォークナー 『死の床に横たわりて』
- ベルトルト・ブレヒト 『三文オペラ』
- ホルヘ・ルイス・ボルヘス 『伝奇集』
- アーネスト・ヘミングウェイ 『誰がために鐘は鳴る』
- 川端康成 『伊豆の踊子』
- ウラジーミル・ナボコフ 『ロリータ』
- ジョン・スタインベック 『怒りのぶどう』
- ジョージ・オーウェル 『動物農場』
- パブロ・ネルーダ 『二重の愛の詩と一つの絶望の歌』
- グレアム・グリーン 『ブライトン・ロック』
- ジャン=ポール・サルトル 『存在と無』
- サミュエル・ベケット 『ゴドーを待ちながら』
- ナジーブ・マハフーズ 『ミダック横町』
- アルベール・カミュ 『異邦人』
- エメ・セゼール 『帰郷ノート』
- ディラン・トマス 『全詩集』
- マルグリット・デュラス 『ヒロシマ、私の恋人』
- ソール・べロー 『フンボルトの贈り物』
- アレクサンドル・ソルジェニーツィン 『収容所群島』
- プリーモ・レーヴィ 『これが人間か』
- ジャック・ケルアック 『路上』
- イータロ・カルヴィーノ 『冬の夜ひとりの旅人が』
- ギュンター・グラス 『ブリキの太鼓』
- ガブリエル・ガルシア=マルケス 『百年の孤独』
- マヤ・アンジェロワ 『籠の鳥の鳴くわけを知っている』
- ミラン・クンデラ 『存在の耐えられない軽さ』
- チヌア・アチェベ 『祖国と亡命』
- ジョゼ・サラマーゴ 『修道院回想録 バルタザルとブリムンダ』
- デレック・ウォルコット 『白鷺』
- トニ・モリスン 『ピラヴド』
- アリス・マンロー 『少女と女性の人生』
- ナウル・エル・サーダウィ 『0度の女 死刑囚フィルダス』
- ジョン・アップダイク 『走れウサギ』
- コーマック・マッカーシー 『ザ・ロード』
- シェイマス・ヒーニー 『人間の鎖』
- J・M・クッツェー 『マイケル・K』
- イサベル・アジェンデ 『精霊たちの家』
- ピーター・ケアリー 『ケリー・ギャングの真実の歴史』
- 黄哲暎(ファンソギョン) 『武器の影』
- W・G・ゼーバルト 『移民たち』
- ローナ・グディソン 『バラ:詩』
- 村上春樹 『ノルウェイの森』
- オルハン・バムク 『ジェヴデット氏と息子たち』
- 莫言 『赤い高梁』
- アルンダティ・ロイ 『小さきものたちの神』
以上ですね。
私は名前や作品を知っているのは半分くらい、読んだことがある本はもっと少なかったです。
日本人の監修ではないので、日本ではメジャーでない人もたくさん紹介されているのも要因です。
ぜひ読んでみたい本がたくさんできました。
それも1つの楽しみ方ですよね!
おわりに
良い本ですが、娘に興味を持ってもらえるかは未知数です。
興味のない子は、本当に目もくれない本だと理解しています。
パパもまったく興味を示さないですし。
だから娘が少しでも興味がありそうなら、一緒に読もうと誘ってみたいというスタンスでいます。
1人で読んでも楽しいですし、本棚に置いてあるだけでもかっこよく、満足していますからね。
最後に『図鑑 世界の文学者』のおすすめポイントをまとめておきます。
興味を持たれた方はぜひ検索してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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